エベレスト街道を歩く
ナムチェバザールの町並み
天空の楽園
まるで天空の楽園のように見えたナムチェバザールの町並み。標高は3,400m前後で、富士山の9合目よりは低いくらいの場所にある。富士山には何もないが、ここには草木も生え人々の生活がある。入口には門があり国立公園の入口の門と同様に、仏画やマンダラが描かれていた。
町を流れる水路とマニ車
門をくぐると仏塔の周りで人々が佇んでいた。工事中の建物などもあり人々の生活が感じられた。町の中心部に向かって水路が流れ、その上に作られた大きなマニ車が回っていた。マニ車を見ながら道を上がっていくと、水路の端が水場となり、金色の神様の像(仏像?)が祀られ、3つの魚(?)の口から水が流れ出てきていた。乾いた場所を想像していたので、こんなに水が流れているものとは思わなかった。
ナムチェバザールの町並み
水路の上が町の中心部。狭い道の両脇に、雑貨店、レストラン、ロッジなどが並んでいる。
ロッジにて
ロッジに着いてとりあえず紅茶を飲んで休憩をする。丘の上に建てられたいろいろな建物が見えた。それほど時間は経っていないが、部屋に案内される頃には天気が悪くなり、山の天気は変わりやすいという言葉を思い出した。雲の合間から山塊が見え、おそらくこれまで見えていなかったヌプラやコンデリなのだろうと地図を見ながら時間を過ごす。ほどなく日も傾き、夕食の時間になったので別棟にある食堂へ。
夕食は今日もダルバートを選び、餃子のようなモモをシェアして食べる。モモにつけるソースは少し辛いが、ダルバートもモモもどちらもおいしい。隣の席に10人程度の韓国のグループがやってきたが、食材などをすべて持ってきているらしく、大きな鍋でスープのような料理を作って食べていた。いろいろとお国柄が出るようだ。ガイドさんによると、エベレスト街道のトレッキング客にはドイツ人やフランス人も多いそうで、まったく違った山域のトレッキングではまた別の国の人が多いという傾向もあったりするそうだ。日本人は全体的に減っているというような話も聞いた。
食事の後はとくにすることもなく、少し疲れてもいるので早々に床につく。標高が高く暖房もないので部屋の中もそれなりに寒い。いつだったか犬の吠える声と人の驚くような声が聞こえてきた。早朝トイレに行こうと部屋を出ると廊下に黒い犬が寝そべっていた。番犬がいるというような話は聞いていないので、誰かが入口のドアを閉め忘れて入ってきたのではないか。声の人、噛まれていないといいのだが。
野性味あふれるトイレ
翌朝、出発の準備を整え、歩き始める前にもう一度トイレに行っておこうと、建物の外にあるトイレのドアを開けて驚いた。なんと、ただの四畳ほどの何もない床の一部の板が外されているだけで、1mほど(?)下に干し草のような、おが屑のようなものが積まれているだけだった。トイレのようなにおいを感じた記憶はなく、堆肥などに使えるのならむしろ効率的なのかもしれない。電気もガスも水道も、食事や医療や教育やその他もろもろ、衣食住に必要なものすら満足にない中で生きていく、これが真にナチュラルな暮らしというものなのかもしれない。<br>※ちなみに建物の中のトイレは水洗。