エベレスト街道を歩く

はじめに

 標高8,848m、世界でいちばん天に近いその山の頂は、7,000m、8,000m級の山々に囲まれ、なおはるか遠く、人々は少しでもその山に近づこうと歩みを進めていくようだった。

はるか遠くに頂上だけ姿を現しているエベレスト

旅のはじめに

 いつか一度は行ってみたいと思っていたネパールのトレッキング。ネパールに行くなんていうのは夢物語にしか思っていなかったけれど、本やインターネットで調べてみると、旅行会社もいろいろとあり、想像していたよりも楽に行けることがわかった。行けるうちに一度行ってみようと計画もより具体的になってきた。

エベレストとマナスル

 初心者でも行けるネパールのトレッキングは大きく分けてふたつのコース、首都のカトマンズを起点に、ルクラからエベレスト方面へ向かうものと、ポカラからマナスル方面へ向かうものがある。

 エベレスト方面は言わずと知れた世界で一番高い山を見に行くコース、一方のマナスルは日本人が最初に登ったヒマラヤの8,000m峰で、こちらのコースはマナスルのほかマチャプチャレやダウラギリなどの山々を望むことができる。

 どちらも晴れればヒマラヤの山々の絶景が期待できる魅力的なコースで、旅行会社のパンフレットを見比べながら、エベレスト方面を目指すことにした。エベレスト方面は歩かないとエベレストの姿を見ることができないが、マナスル方面はポカラの街からでも山々を遠望することができる。もし二度目にネパールを訪れる機会が巡ってきたとして、その時に体が悪くなっていたらエベレストを望むことはできないので、体がまだ丈夫なうちにエベレスト方面へ行くことにした。ポカラは飛行機を乗り継げば、観光地気分で訪れることができるそうだ。

ネパールの地図

 エベレスト方面といってもいろいろな種類のツアーがあるが、今回はエベレスト街道と呼ばれる道を歩き、天空の町ナムチェバザールを経由し、シャンボチェの丘からエベレストを遠望するものに申し込んだ。

 パスポートが切れていたので新たに取り直し、目黒のネパール大使館でビザを申請。トレッキングシューズを入れると荷物が多くなってしまったのでスーツケースも新調した。

 これで出発の準備は整った。

2018年秋